第3回目となるdesign campのテーマは「どのように仕事を生み出すか」です。
アプリケーションの低価格化やデザイン素材の充実、オンラインプリントやネットサービスの登場に伴い、デザイン業務の内製化が進みつつあります。また、それらは一般の人がデザインに関わることへのハードルを低くし、プロとアマの境界線が曖昧になっています。
そんな状況の中、デザイナーはどのように仕事を生み出していくのか、プロとしてどうアプローチしていくのかを話し合いました。
まず、内製化に関して尋ねたところ、販促物の簡単なデザインを内部で行っている企業や、いずれ内製化を実現する為にあれこれ教えて欲しいという依頼があるとの話がありました。ただ、実際に自分たちでやってみると、やりたいことと出来ることのギャップを感じることや、内部だけではデザインのスタイルが偏ってしまうなどの問題もあり、全てを内製化するのは難しい側面もあるようです。実際のところデザイナーの所へ依頼が来る場合は、製品やサービスの根本的な見直しが伴うような案件として難しいものが多いとの話も耳にします。
そのような状況の中、デザイナーは頼られる存在として何を示していけば良いのか。
まず、小さなことであってもレスポンスを早くするという意見がありました。例えば問い合わせのメールがあったときに、とにかく早く返事をする。デザインの善し悪しは重要だけれども、そのベースとして人と人とのスムーズな関係に気を配っているとのことでした。
また、自分の専門性と過去の経験を踏まえ、遭遇しそうな問題を見越し事前に解決策を提案することで、信頼に繋げられるのではないかとの意見もありました。進行途中のトラブルは、予算やスケジュールに影響を与えることがあります。机上でデザインしている段階でも、問題点や仕上がりを具体的に想像できるのは過去の経験に培われた専門的な視野の広さならではと言えます。
さらに、自分自身のブランディングも必要との話もありました。自分の得意分野を伸ばす。仕事以外でオリジナルの創作物を手がけることで、自身の価値を高める努力を積み、アピールしていく。そうすることが「○○さんなら面白い物を作ってくれそう」との期待となり、他のデザイナーとの差別化に繋がるのではないかとのご意見でした。
ディスカッションから感じたのは、依頼であれオリジナルの創作であれ、デザイナーは常に質の高いものを提供し続けなければならないということです。内製化が進んだとしても、ここはプロに頼みたいというところは必ずある。そして、それは内製化だけでは解決が難しいものを持ち込まれる場合が少なくありません。デザイナーはその解決策を提供できるよう、日頃から高いレベルのものを提供し続け、自分を高める努力をしておかなければならず、それが結果的に仕事を生み出すことに繋がるのだと感じさせられました。モノづくりを生業としている者にとって当然のことかもしれませんが、再認識させられ背筋が伸びる思いがしたディスカッションでした。
- report:山地啓之