第4回目となるdesign campのテーマは「嘘とデザイン」。
「アピールする演技は嘘、感情が伴った演技は真実」、ある演出家のこの言葉がテーマのきっかけになった。同じ演技でも嘘と真実があるならば、デザインにおいて嘘と真実とは何か。今回はいつもの場所を飛び出し、道頓堀のあるスペースにお集まり頂き、連なる看板やネオンを眺めながら、デザインを語る上で欠かせない「付加価値」について考えを伺った。
まず、現存する数商品を例に上げ、嘘っぽさと成功例について話し合った。
流行などマーケティング結果から生まれるデザインは本質を突いていなく、嘘っぽく感じるという見解に対し、競争する中である程度、過大な表現は当然なこと、または、価値観の広がりフィルターが多種多様なので、嘘っぽいことを楽しんでる視点もある。等々、ある商品を例に様々な角度からの意見がでた。
つぎに、良くないと思う商品をデザインするときは、どのような落とし所を見つけられているか伺ったところ、
開発者の熱意やクライアントが喜ぶ視点など、商品ではなく依頼者にシフトした考えをするという意見が出た。
ヒアリングを繰り返し、いいところを見つけ出すしかない。デザイナーは自分の考えを入れるべき、そこにデザイナーとしての付加価値があるという意見が出るなど、ここでもあらゆる角度からの考えを伺え、議論は盛り上がる。
デザインの付加価値について。
使う喜びも商品である。喜びもデザインに込めるようにしている、それは誇大表示ではない。物を売るだけでなく、物を使う状況を見せることが付加価値につながると信じている。また、ネット販売においては、くどいくらいの説明が付加価値になっているというグラフィックデザイナーにとって新しい意見も頂いた。
各々、具体例をあげながらの話で盛り上がる中、付加価値の話題はブランディングに変わっていく。
お客様からフィードバックを長い目で改善していけば、少しづつブランドは育つ。ブランディングに関わるときはまず人(経営者)を見るようにしている。ここでは消費者目線の考えと、経営者の人となりを見るという2つの方向性の意見が非常に興味深かった。
今回のディスカッションから、企業と消費者の間でデザイナーはどのような働きが出来るか、ということが少し垣間見た気がする。価値基準が多種多様の中、デザイナーが自らのフィルターを通すことが嘘と真実の境目になるのかもしれない。またデザイナーも自らが商品として付加価値を高めていかないといけないと参加者の意見を伺いながら感じた。
具体的な商品名を出した話しや、嘘のデザインをしたことがあるというカミングアウトで盛り上がったが、ここで記載できないのが残念でならない。
- report:峠田充謙